「そもそも」を考えてみよう③ 「訴状に嘘が書いてあるんです!」

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

写真の紫のツブツブ、可愛いでしょ。

出勤途中で見つけました。

名前がわからなかったので、ちょっとネット検索してみたら、「ムラサキシキブ」か「コムラサキ」のどっちかみたいです。

深入りして調べ始めると例によって仕事が進まなくなるので、「どっちかみたい」で留めておくことにしました。

 

さて、今日は訴訟のお話です。

まずは相談事例を読んでみてください。

(実際の相談例ではなく、私が作った架空の事例です。)

 

ある日、Sさんが私の事務所へやって来ました。

「先生、大変なんです。友人のMから訴状が来たんです!」

見てみると、貸したお金100万円を返せ、という趣旨の訴状です。

証拠として借用書のコピーもついています。

「嘘なんです! 嘘だらけなんです!! 聞いてください!

私は1年前に独立して開業しました。

その時、Mは100万円を用立ててくれました。

君の理念に賛同するから出資する、と言ってくれたんです。

もしも成功したら倍にして返してくれればいい、と笑いながら言ってくれました。

借用書ですか?

Mの厚意にただ甘えるわけにはいかないので、形式だけでも、ということで書きました。

その借用書を盾に取って、貸したカネを返せ、なんてひどいですよ!

私の事業は、今、軌道に乗りかかってるんです。

来年ぐらいになれば、ほんとに倍にして返せるんですよ。

いや、でもMは出資って言ったんですよ。

私も借金したつもりなんて全然ありません。

Mは最近、浮気が原因で離婚したんです。

慰謝料を請求されてるらしいです。

それでお金が必要になったんですよ。間違いないです。

それで、私にお金を貸した、という嘘をでっちあげて訴訟を起こしたんです。

許せません!

裁判には行きますよ。

行って、裁判官の前でMを問い詰めてやります。

本当のことを言わせます!」

 

いかがでしょうか。

訴訟を経験されたことのない方は、何の違和感もなくお読みになったかもしれません。

実は、Sさんの言っていることにはおかしな部分があります。

「訴訟」というものの「そもそも」を理解しておられないのです。

まず、

「裁判官の前でMを問い詰めてやります。」

という部分について。

もちろん、Sさんは自分の言い分を主張しなくてはなりません。

でも、それは、原告と被告が直接にやりあう、ということではないのです。

原告のMさんは、自分の主張を「裁判所に対して」述べたのです。

その主張の内容を書面にしたものが「訴状」です。

被告になったSさんは「裁判所に対して」自分の反論を述べなくてはなりません。

実際には「答弁書」という書面を作成して提出することになります。

原告と被告が、それぞれ「裁判所に対するプレゼンテーション」を行うのだ、とイメージすると理解しやすいかもしれません。

次に、

「本当のことを言わせます!」

という部分について。

「事実がどうであったか」を判断するのは裁判官です。

原告と被告は、そのための材料を集めて提出するのです。

この事例では、原告のMさんは証拠として借用書を提出しました。

事実認定のための材料を提出した、ということです。

被告のSさんがなすべきことは、

「自分が本当であると考えていること」を、裁判官に「事実」として認定してもらうための「材料集め」です。

材料は自ら集めて、まとめて、提出しなくてはなりません。

紛争が起きると「法廷闘争だ!」と叫ぶ方がいらっしゃいます。

確かに訴訟は「闘争」かもしれませんが、その実際は「裁判所に対するプレゼンテーション合戦」なのです。

 

このあたり、雰囲気だけでもイメージしていただけましたら幸いです。

 

 

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2016年10月6日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka