クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ③

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

 

今日も前回に続いて建物賃貸借契約のお話です。

前回の記事では、

「借主に義務として課されている『原状回復』とは、退去時に、借主の故意・過失や通常の使用方法に反する使用など、借主の責任によって生じた損耗やキズなどを復旧することである。」

ということをお話しました。

→「クロスの張り替え費用はどちらが負担する?②」はこちら

そして、次のような場合について問題提起しました。

もう20年以上住んでいる借家から引っ越すことになった。

壁のクロスには孫が遊びに来た時にやってしまった落書きの跡がある。

大家さんは、

「そちらの不注意だから、クロスの張り替え費用は負担してください。」

と言う。

でも、もう20年以上経ったクロスは全体に変色していて、落書きがなくても張替えが必要な状態。

それでも、クロスの張り替え費用は借家人が払わなくちゃいけないの?

何だか変な気がするんだけど・・・。

 

いかがですか?

確かに、変ですよね。

この例の場合、もしも落書きがなかったとしたら、クロスの張り替え費用は大家さんの負担ですよね。

20年も経って変色しているのは、経年変化または通常損耗といえますから。

それなのに、「たまたま」落書きがあったことで、張り替え費用が借主の負担になるのだとしたら、大家さんにとっては、思わぬ丸儲け、ラッキー!、ということになってしまいます。

そこで登場するのが「経過年数を考慮する」という考え方です。

建物や設備は、新品の状態からだんだん古くなって、それと共に、だんだん価値も下がっていく。

そこで、借家人が退去する際に原状回復費用を負担する場合には、退去する時点での価値を基準にして負担額を決めよう、と考えるのです。

クロスの場合、6年で価値がなくなる、と考えます。

(正確には価値が「1円」まで下がる、ということなのですが、話をわかりやすくするために、ここでは「価値がなくなる」と考えてみましょう。)

新品のクロスが張られた部屋に6年以上住んでから退去する場合には、借主の不注意で損耗させたのだとしても、「すでに価値のないもの」であるため、借主が張り替え費用を負担する必要はない、ということになります。

ちょうど3年で退去する場合には、クロスの価値は半分になっていますから、借主に不注意があった場合には、張替え費用の半分を負担することになります。

こうやって大家さんと借主のバランスを取ることになっているのですね。

この考え方は、今ではすっかり定着していて、原状回復をめぐって裁判になった場合にも、この考え方で判断がなされることが多いのです。

 

今日のお話、大家さんも借主さんも、ぜひ理解しておいてくださいね。

 

【2020年10月27日追記】

現在、私は訴訟関係の仕事は引き受けておらず、相談もお受けしていないです。

このブログの訴訟・裁判カテゴリーの過去記事は残してありますので、参考になさってください。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ①

★クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ②

★クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ④

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2014年12月12日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka