クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ①

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

 

今日は賃貸住宅のお話です。

次のような場合を考えてみてください。

ある人が、借りていたマンションから引っ越すことになりました。

荷物を全部運び出して、鍵の返却と部屋の引渡しの場面。

管理会社の担当者が、汚れ・キズなどをチェックします。

すると、リビングの白いクロス張りの壁に、四角い白い跡がある。

絵を掛けて飾っていた場所です。

日光が当たらなかったためか、絵の後ろの部分のクロスが白さを保っていたのですね。

担当者は、それを見て

「ああ、張替えですね~」

と言いました。

確かに、そのまま次の人に貸すのはちょっと、という状態です。

 

さて、いかがでしょう。

もしもあなたが借りていた側なら

「張替え費用を請求されるんだろうか?

絵なんか飾らない方がよかったのかな。

一体いくらかかるんだろう」

と不安になるかもしれません。

もしもあなたが大家さんなら

「このままでは次の人に貸せない。

張替え費用は、これまで住んでいた人に負担してもらいたい」

と思うでしょう。

そして、借主さんも大家さんも、普段は見たこともない賃貸借契約書をひっぱり出して見てみると、

「借主は契約終了時には本物件を原状に復して明け渡さなければならない」

と書いてあります。

大家さんは、

「契約書にちゃんと書いてあるぞ! 張替え費用は請求できる!」

と喜ぶかもしれません。

でも借主さんは

「確かに原状に復して、って書いてあるけど、こっちが費用を負担するのは何だか納得いかない・・・」

と感じるでしょう。

実はこの問題、昔からさんざんトラブルになってきた問題なのですが、今では、どのように考えるのかは固まって、定着しています。

まず、

「原状に復する」、いわゆる「原状回復」とは「借りた時と同じ状態に戻すこと」ではない、

ということ。

これをしっかりと理解してください。

家や部屋は、自然とあちこちが古くなって少しずつ損耗していきます。

(これを経年変化といいます。)

それから、通常に使用していても何かしらの損耗は生じます。

(これを通常損耗といいます。)

「原状回復」とは、これら経年変化や通常損耗を元に戻すことではないのです。

ですから、契約書に「原状に復する」と書いてあっても、借主は経年変化や通常損耗を元に戻すための負担をする必要はないのです。

そこで、最初のクロスの張り替え費用について考えてみましょう。

「リビングの壁に絵を掛ける」というのは、通常の使用です。

ですから、それによって生じたクロスの白い跡は、通常損耗といえます。

日焼けで変色したのであれば、経年変化ともいえるでしょう。

ですから、このクロスの張り替え費用を借主が負担する義務はありません。

大家さんは、クロスを張り替えるなら自分で費用を負担しなければなりません。

それは「原状回復」ではなく「リフォーム」であって、もともと大家さんが負担すべきものなのです。

少しご理解いただけましたでしょうか?

では、借主が負担しなければならない「原状回復」とは、どんなものなのか。

これについては、また次回。

 

【2020年10月27日追記】

現在、私は訴訟関係の仕事は引き受けておらず、相談もお受けしていないです。

このブログの訴訟・裁判カテゴリーの過去記事は残してありますので、どうぞ参考になさってください。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ②

★クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ③

★クロスの張り替え費用はどちらが負担する? ④

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2014年12月9日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka