「正しいこと」でも制限される場合がある。

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

今日のタイトル、一体何の話? と思われたかもしれませんね。

最後まで読んでいただければわかります。

まずは事例をお読み下さい。

 

【事例】

Aホテルでは、これまでB温泉からタンクローリーで湯を運び大浴場で使っていた。

B温泉から直接パイプで湯を引くことが念願であったが、パイプのルートに当たる土地の所有者たちと交渉を重ね、多額の費用を投じて工事を行い、このほど設備が完成した。

ある日、AホテルにCが怒鳴り込んできた。

「自分の別荘の土地にパイプが通っている! 自分は許可した覚えはない!」というのである。

調査をすると、Cの言うとおりであった。

Cが所有する広大な土地の端っこをパイプが通る形になってしまっていたのである。

担当者Dのミスである。

DはCの元へ出向き謝罪を行い、土地の利用権の設定と利用料の支払いを申し出た。

しかし、話し合いの中でDは「たった数メートルじゃないですか」という失言をしてしまった。

Cは激怒し、「社長を連れてこい、おまえをクビにしてやる!」と叫んだ。

Aホテルの社長がCの元へ出向き謝罪を行ったがCは聞き入れない。

「Dをクビにしろ、パイプは撤去せよ」と繰り返すばかりである。

社長は、パイプの撤去とルートの変更には多大な費用がかかり、経営が苦しくなって倒産もあり得る旨を説明し、何とか土地を利用させてもらえないか、と懇願したがCは聞き入れようとせず「Aホテル、潰してやる!」と叫んだ。

そしてCはAホテルに対し、パイプの撤去を求める訴訟を起こした。

 

いかがでしょう。

法律の世界では有名な「宇奈月温泉事件」を念頭に置いていますが、登場人物等は完全に私の創作です。

Cの主張は「自分の土地をパイプが不法に通っているから撤去せよ」ということです。

他人の土地を勝手に使ってモノを置いたら「どけてくれ」と言われた。

言われたとおりにしなければならないか?

言われたとおりにしなければいけません。

アタリマエです。

Cは正しいです。

でも・・・でも・・・ですよね。

さて、どうしましょう。

こんな場合に登場するのが民法第一条第3項です。

条文を見てみましょう。

《民法第一条③ 権利の濫用は、これを許さない。》

民法の一番最初の条文に「権利は濫用してはならない」と書いてあるのです。

基本原則なのです。

「濫用」って、難しい漢字が当てられていますが、「乱用」と同じです。

権利があるからといって限度を越えてむやみに行使してはならない、ということ。

やりすぎはダメ、ってことです。

こ事例の場合、Cの主張は認められない可能性があるのです。

「正しいこと」であっても、権利の行使が制限される場合があり得るのです。

実際にどんな場合に民法第一条第3項が発動されるのかというと、それは事案に応じて様々です。

そう簡単に発動されるものではない、ということは言えます。

でも、「正しい」ことでも否定されることがある、というのは知っておいていただきたいなあ、と思います。

 

 

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2020年2月6日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka