「あとしまつ」のための生命保険金

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

梅雨の真っただ中、ちいさな太陽が咲きました♪

可愛いでしょ♡

 

私は今月は大忙しだったのだけど、いろんなことが一段落して、ひと息ついているところです。

空いた時間で、終了案件の書類整理なんかもやってます。

改めて資料を読み返していると、いろんなことを思い出します。

Kさんの案件もそのうちの一つ。

 

ここから先は、実際の案件そのものではなく、アレンジを加えたものです。

 

Kさんは一人暮らしの認知症の方でした。

認知症に加えて身体疾患もあり、在宅生活は破たん寸前。

ケアマネさんの尽力により成年後見制度の利用につながり、私がKさんの保佐人に就任しました。

Kさんには配偶者もお子さんもおられませんでしたが、ご兄弟がたくさんおられました。

そのご兄弟たちのうち、首都圏にお住いのLさん、Mさん、Nさんの3人がKさんのことを心配して、いろいろとサポートしておられました。

私とLさんMさんNさんは連絡を取りあい協力し、紆余曲折の末、Kさんは近県の特別養護老人ホームに入所できました。

Kさんはそこでしばらく過ごした後、昨年亡くなられました。

後見人や保佐人は、ご本人が亡くなられると、基本的に「何もできない」存在になります。

ご本人の死去と共に、後見人等の権限は消滅します。

私はこの点について、あらかじめLさんたちに説明してありました。

Kさんが亡くなった後のことは、私はお手伝いできないのだ、と。

Lさんたちは、きちんと理解をしてくださり、Kさんが亡くなられた後、皆さんで協力して対応に当たられました。

葬儀はもちろん、入所していた施設の居室の片づけ等々。

他県にまで出向いて、よく頑張られたなあ、と感心させられました。

実は、いろんなことがスムーズに運んだのには、「お金」のことも大きかったのです。

Kさんは生命保険に加入されていました。

死亡保険金の額は「死後の後始末」にちょうど必要なくらいの額。

受取人は末弟のNさんでした。

兄弟のうち、いちばん若いNさんを指定してあったのですね。

それに加えてKさんは、保険契約の存在を、LさんMさんNさん全員に伝えてありました。

「この保険金で葬式を出してくれ」と。

ですから、この保険金について兄弟間で争いになることはありませんでした。

Kさんの「あとしまつ」に関して、「費用はどうする?」という問題が生じることもありませんでした。

保険金の受け取りの煩雑さにNさんは戸惑っておられましたが、必要書類の収集などについては私も多少の助言をして、比較的スムーズに保険金の受領ができました。

Kさんが亡くなった直後の費用については、ご兄弟が立て替えるしかなかったのですが、それほど時間を置かずに保険金から立替金を受領できたはずです。

なので、ご兄弟のご家族たちにも、それほど大きな迷惑をかけることはなかったと思います。

Kさんの「あとしまつ」への準備は立派だったなあ、と思います。

 

ただ、これで問題がすべて解決、というわけではなく、Kさんの案件については、様々な問題が浮上することになります。

これらについては、また改めて。

 

 

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2017年6月28日 | カテゴリー : 成年後見 | 投稿者 : Kazuko Kataoka