超入門② 口約束は守らなくてもいい?

DSC04896

こんにちは。片岡和子です。

世田谷区等々力で司法書士をやってます。

事務所の最寄駅は東急大井町線の尾山台または九品仏。

自由が丘や二子玉川からも便利なところです。

お気軽にご相談においでくださいね。

 

卒業シーズンですね。

みなさんの周りにも、引っ越しをされる方がいらっしゃるかも。

そこで少し、こんな場面を考えてみてください。

就職が決まって引っ越す先輩Aと、その後輩Bの会話です。

B:先輩、卒業おめでとうございます。

A:うん、いま引っ越し準備真っ最中なんだよ。

B:忙しいですね。

A:うん。そういえば君、自転車いらない? 引っ越し先は駅が近いから、要らなくなるんだ。

B:あ、ちょうど欲しくて、買おうと思ってたところです。安く売ってください!

A:そうか、3000円でどう?

B:買います!

A:よし、じゃあ明日取りに来い。

B:了解です!

次の日、BがAのアパートに行ってみると・・・

B:先輩、自転車受け取りに来ました!

A:あ、悪い・・・。あれはCに売ったんだ。5000円で買うって言うから。

B:えっ・・・。でも、約束・・・

A:あんなの、口約束じゃないか。きちんと契約したわけじゃないし。

B:でも・・・

A:契約書があるとか言うなら、話は別だけど。

B:・・・・・。

いかがでしょう。

Aの態度は腹が立つけど、そんなこともあるよね、と思われた方もいらっしゃるでしょう。

Bの感じているモヤモヤに共感する、という方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、その感情はちょっと脇へ置いて、「法的」にはどうなのか、を考えてみましょう。

実は、AとBの間には契約が成立しています。

Aの「売る」という意思と、Bの「買う」という意思が合致した時点で、売買契約が成立しています。

契約書を作ったかどうか、は関係ありません。

意思の合致で売買契約は成立するのです。

ですから、Aが自転車をCに売ってしまったのは、立派な「契約違反」です。

口約束でも契約は契約。

約束を破れば契約違反なのです。

では、このAB間の問題において「契約書を作らなかった」ということは、どういう意味を持つのでしょうか。

「契約書を作成しなかった = 契約はなかった」

ではないことは、ご理解いただけていると思います。

実は、「契約書を作成しなかった」ということの問題は、

「この契約が存在するかどうか、A・B以外の人間からはわからない」

という点にあるのです。

もしも、猛烈に腹を立てたBが訴訟を起こして

「Aは契約違反をしたんです!」

と主張したとしても、裁判官の目から見ると、

「そもそも契約があったかどうかわからないし・・・」

ということになるのです。

つまり「立証できない」という状態になるのです。

 

いかがでしょうか。

ナルホド、と思っていただけましたら幸いです。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★超入門① 実はあまり理解されていない「実印」のこと

★超入門③ 民事責任と刑事責任を区別しよう。

★超入門④ 内容証明について正確に理解しよう。

★超入門⑩ 法律上の相続放棄と事実上の相続放棄

★超入門⑬ 「動画で遺言」は有効?